お店の形態が「風俗営業」に該当する場合、風俗営業の許可を取る必要があります。風俗営業の許可を取れば接待行為をすることはできますが、営業時間は午前0時(仙台市の国分町の一部など若干の例外あり)までが原則です。
いわゆる「キャバクラ」はこれに該当します。
風俗営業に該当せず、深夜営業をする場合、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。この場合、深夜を過ぎて営業はできても、接待行為はできません。
いわゆる「ガールズバー」がこれに該当します。
それなら風俗営業の許可と、深夜酒類提供飲食店営業の届出があれば、午前0時以降も営業ができ、さらに接客だけでなく、接待もできるのではないか・・・と思われるでしょうが、これを認めてしまうと「午前0時まで」という風俗営業の規制が骨抜きになります。 そのため、同一のお店で、風俗営業の許可申請と深夜酒類提供飲食店営業の届出を行うことは、事実上、できないとされているのです。
それでは次に、「キャバクラ・ガールズバー」について説明していきます。
キャバクラ・ガールズバー開店時に必要な許可・届出の判断基準
深夜酒類提供飲食店とは
◆風俗営業店との違いと届出までの流れ
深夜酒類提供飲食店とは、深夜(午前0時から日の出時まで)において、お客様に酒類を提供して営む飲食店のことです。
なお、深夜に酒類を提供する飲食店でも、レストラン・ラーメン屋・牛丼店などのように、通常主食と認められる食事を提供し、付随的に酒類を提供しているような飲食店は深夜酒類提供飲食店には該当しません。
風俗営業のお店との違いは、以下の3点です。
1.許可は必要ない、届出に不備がなければ、すぐに受理され、営業可能
(ただし、10日前までには届出が必要)
2.午前0時以降も営業できる
3.接客はできるが接待はできない
特に、「接待はできない」というところは十分注意しましょう。
深夜酒類提供飲食店の営業届出までの流れは以下のような流れになります。
事前相談
施設の工事着工前に、施設の設計図等を持参の上、警察に事前に相談をしましょう。
また、お店の所在地が、深夜酒類提供飲食店の営業ができる地域に該当するかどうかは、開店する予定の場所の市区町村で確認します。
深夜酒類提供飲食店の営業届け出
届出書類等は営業開始の10日前までに提出しなければなりません。
書類に不備等がなければ、即日受理となります。
深夜酒類提供飲食店として営業開始
10日後、深夜酒類提供飲食店としての営業が可能になります。
深夜酒類提供飲食店営業の届出に必要なもの
◆届出は地域によって異なる可能性があるので、事前に所轄の警察署に提出書類の確認をしましょう。
深夜酒類提供飲食店の届出に関する書類を用意し、営業開始10日以上前には、公安委員会(警察署生活安全課保安係経由)に届け出なければなりません。
なお、深夜酒類提供飲食店は、届出の手数料はかかりません。
届出には、以下の書類が必要です。これらの書類も地域によって異なることがあるので、所轄の警察署にご確認を。
必要書類
①深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書
②深夜酒類提供飲食店営業の営業方法
③平面図(お店を上から見た図)
テーブル等の配置図であり、椅子の高さや計算式を含むもの
④証明・音響・防音設備図
⑤保健所から交付された飲食店営業許可証のコピー
⑥申請者の住民票の写し(本籍地の記載のあるもの)
法人の場合、上記のほかに登記簿謄本、定款のコピーが追加で必要があり、住民票の写しは役員全員(監査役を含む)のものが必要
酒類提供飲食店営業営業開始届出書の書き方
・日付(届出年月日を記入)
・氏名、住所、営業所の名称、営業所の所在地(保健所の許可証どおり記載)
どこまでが「接待行為」?
◆キャバクラとガールズバーを分ける重要なポイント
一般的に、キャバクラには風俗営業の許可が必要ですが、ガールズバーの場合、深夜酒類提供飲食店営業の届出で大丈夫といわれています。ただしこれは微妙なところで、あくまで実態に基づいて考えなくてはなりません。ガールズバーでも、実態から考え、風俗営業の許可が必要なお店もあるでしょう。風俗営業の許可が必要かどうかの一番のポイント、それは、そのお店の中で接待行為があるかどうかです。
接待とは・・・歓楽的雰囲気で接客すること。来店するお客様の求めに応じて、お店側がその期待に応えるため、積極的にお客様を歓ばせる会話やサービスを行うことです。
つまり、単なる飲食行為に通常伴わないぐらいの、あるレベルを超えた会話やサービスを行うということです。
接待行為の判断基準とは、具体的にどういうものであるかを一概にいうことは、非常に難しいものですが、一般的に以下のようなものが接待行為と考えられます。
談笑・お酌等
特定少数のお客様の近くにはべり、継続して談笑の相手となり、酒等の飲食物を提供したりする行為。なお、単なる給仕行為のように、お酌や水割りをつくっても、速やかにその場を立ち去る行為は、接待に当たりません。ただし、お酌の場合、速やかにその場を立ち去ることが難しいため、接待に当たる可能性が高くなりますので気をつけてください。
カウンター内で、単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為は接待に当たりません。これらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わすことや若干の世間話をする程度の行為も接待に当たりません。
歌唱等
カラオケがあるお店の注意点。特定少数のお客様の近くにはべり、そのお客様に対し歌うことを推奨し、またはそのお客様の歌に手拍子をとり、拍手をし、ほめはやす行為またはお客様と一緒に歌う行為は、接待に当たります。
なお、お客様の近くに位置せず、不特定のお客様に対し歌うことを推奨し、または不特定のお客様の歌に対し拍手をし、もしくは、ほめはやす行為は接待に当たりません。
遊戯等
お客様とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たります。
その他
お客様と身体を密着させる行為、手を握るなどお客様の身体に接触する行為、お客様の口許まで飲食物を差出し、お客様に飲食させる行為などは、接待に当たります。
深夜酒類提供飲食店の場所とお店の構造
◆細かく決められているので要チェックです。地域の条例等で異なりますのでご注意ください。
場所の規制
・住居集合地域である第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高層住居専用地域
・第1種住居地域
・第2種住居地域及び準住居地域
これらの地域においては、深夜における酒類提供飲食店は営業出来ません。
開店予定の場所がこれらの地域に該当するかどうかは、開店する予定の場所の市区町村で確認できます。
深夜酒類提供飲食店の構造、設備の適合基準
・客室の床面積9.5平方メートル以上であること
ただし、1室だけを使用して営業する場合は、この制限はない。
・客室に見通しを妨げる設備がないこと
背の高い椅子(1メートル以上のもの)、つい立て、障壁などは設けられません。
また、カーテン、スダレなどで見通しを妨げ、店内を仕切ることはできません。
・風俗を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備がないこと
・客室の出入口に錠をかけないこと
・騒音、振動の数値が条例で定める数値以下であること
・ダンスをするための構造または設備を設けないこと
・営業所の照度が20ルクス以下とならないようにすること
基準に満たない照度に自由に変えられるスライダックス(証明切替装置)などの設備は設けられません
深夜に酒類提供飲食店を営業するお店は、以上の条件をすべて満たす必要があります。
深夜酒類提供飲食店営業での禁止行為
◆働いているスタッフの名簿を備えつけることも必要。保存期間は3年
深夜酒類提供飲食店営業では、接待行為以外に次のような禁止行為や義務があります。
18歳未満は22時まで
深夜酒類提供飲食店の場合、業態上当然のこととして「接待」はできません。
接待ではなく「接客」なら18歳未満の人を、業務に従事させることはできますが、22時以降は従事させてはいけません。
しかし、22時前でも、トラブル防止のため、18歳未満の雇用は避けたほうがよいでしょう。18歳未満の人を22時以降に客として立ち入らせることも禁止となります。
20歳未満
20歳未満の人に酒類やたばこを提供することは禁止です。
客引き
通行人の前を立ちふさいだり、付きまとったり、身体に手をかけたりして、客引きをすることは禁止です。
接客従業者に対する拘束的行為
接客従業者(お店で働く従業員のこと)に対して、次のような拘束行為は禁止です。
・高額の貸付
・運転免許証、パスポート、健康保険証などを保管すること
深夜、客に遊興をさせないこと
遊興とは、「お店側の積極的な行為によって客に遊び興じさせること」をいいます。
具体的には、客に生バンドの演奏を聞かせたり、ダンス、ショー、演芸、映画などを見せたり、あるいはのど自慢大会、ゲーム、ビリヤードなどを行わせたり、不特定の客にカラオケをセットして歌うことを推奨したり、不特定の客の歌をほめはやす行為などです。
従業者名簿を備え付けること
従業者を雇用した場合、従業者名簿を備えて正確に記載し、異動があればその都度すみやかに訂正して下さい。アルバイトのような臨時雇いの場合も含みます。
また、退職者の名簿も退職後3年間は備えておくことが必要です。
従業者名簿には、氏名、生年月日、性別、本籍、住所、採用年月日、従事する業務の内容を記載することが必要です。住民票、免許証など信用できるもので確認して備え付けてください。
「風俗営業」とされるお店とは
◆公安委員会の許可が必要な飲食店
キャバクラを開業するには、公安委員会(警察署)からの許可が必要です。
キャバクラは、サービスとしてキャストがお客様を「接待」する場所です。そのため、接待をするために、「風俗営業」の許可が必要となるのです。
この場合の「風俗」というのは「性風俗」とは異なります。
法的にも「風俗営業」と「性風俗関連特殊営業」とはしっかりと区別されています。
「風俗営業」は、飲食、レジャー等のサービスを提供する営業です。
それに対し「性風俗関連特殊営業」は、お客様の性的なものに応えるサービスを提供する営業のことです。
キャバクラは「風俗営業」のほうに該当するので、混同しないようにしましょう。
なお、「風俗営業」にも、「接待飲食店等営業」と「遊戯場営業」があります。「接待飲食店等営業」とは、お客様を接待する飲食業です。
キャバクラは、「風俗営業」の「接待飲食店等営業」に該当し「1号営業」にあたります。
キャバクラ営業許可申請手続きの流れ
◆所轄の警察署へ申請する
◇許可要件(場所と構造と人)の調査
【場所】キャバクラ営業は、一定の用途地域では認められません。
【構造】キャバクラ営業で営業するには、お店の構造、設備は一定の基準を満たしていることが必要です。
【 人 】申請者(お店の経営者)およびお店の管理者が人的欠格事項に該当してはなりません。
◇申請書類等の作成
◇所轄警察署へ許可申請
◇店舗の調査・実査
風俗営業の許可申請をすると、営業所(お店)の調査を受けます。通常、実査といわれ、申請時に調査日時を指定され、お店の経営者である営業者、管理者は立ち会います。
構造設備、営業所の周囲の略図が申請された内容と一緒であるか調査されます。
◇所轄警察署から許可の連絡と、許可証の交付
店舗の調査・実査で問題がなければ、原則55日以内で、許可年月日および許可番号の連絡があります。そして、所轄警察署での許可証の交付がなされます。
キャバクラ営業の場所とお店の構造
◆深夜酒類提供飲食店よりも厳しい規制
地域によって異なりますのでご注意ください。
場所の規制
住宅集合地域である第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域及び準住居地域において、キャバクラは営めません。ここまでは深夜酒類提供飲食店と同じです。
なお開店予定の場所が、これらの地域に該当するかは、開店する予定の場所の市区町村で確認できます。しかし、キャバクラはその地域以外であっても、学校や病院などといった保護対象施設から、一定の距離以内の場所では営業は認められません。
構造、設備の規制
キャバクラ営業のお店の構造、設備は、次の基準に適合し維持する必要があります。
・客室の床面積が和室1室につき9.5㎡以上、洋室1室につき16.5㎡以上であること。ただし、1室だけを使用して営業する場合は、この制限はありません。
・営業所の外部から客室が見えないこと
・透明ガラスのドアや窓は、ガラスに目隠しをしなければなりません。
・客室に見通しを妨げる設備がないこと
・背の高い椅子(1メートル以上のもの)、つい立て、障壁などは設けられません。また、カーテン、スダレなどで見通しを妨げ、店内を仕切ることはできません。
・風俗を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備がないこと
・客室の出入口に錠をかけないこと
・騒音、振動の数値が条例で定める数値以下であること
・ダンスをするための構造又は設備を設けないこと
・営業所の照度が5ルクス以下とならないようにすること
基準に満たない照度に自由に変えられるスライダックス(証明切替装置)などの設備は設けられません。
以上の条件をすべて満たす必要があります。なお、風俗営業の申請をすると、火災に備えての検査として、警察の担当者から消防署と市区役所建築指導課の担当者に連絡が行き、それぞれの検査を受ける場合もあります。
つまり、キャバクラ営業するための風俗営業の許可の条件は深夜酒類提供飲食店営業の届出に比べると厳しい条件といえます。
風俗営業の人的欠格事項
◆こんな人は、風俗店を営業できない
風俗営業1号の許可は、許可の申請をすれば誰にでも公安委員会の許可がおりるというわけではありません。申請者(個人または法人の役員全員)が人的欠格事項に該当してはダメです。お店の管理者を別の人に任せる場合も、その管理者が人的欠格事項に該当していても同様です。
人的欠格事項とは、簡単にまとめると、以下の七つの事項です。一つでも該当していると、許可がおりません。これ以外にも気になることは、事前に警察に確認しましょう。
①成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない人
②1年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられ、または無許可風俗営業、刑法等に違反して1年未満の懲役もしくは罰金の刑に処せられて、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない人
③集団的に、または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがある人
④アルコール、麻薬、大麻、あへん、または覚せい剤の中毒者
⑤風俗営業の許可を取り消されて、取消日から起算して5年を経過しない人
⑥法人の役員で、上記①から⑤までのいずれかに該当する人
⑦営業に関し成年者と同一の行為能力を有していない未成年者(管理者の場合、未成年者)
風俗営業の許可申請に必要なもの
◆必要な書類と提出先
許可申請の必要書類は以下のとおりです。これらの書類も地域によって異なることがあるので、所轄の警察署に確認しましょう。
必要書類
①許可申請書
②営業の方法を記載した書類
③営業所の平面図(お店を上から見た図)・営業所周囲の略図
テーブル等の配置図であり、椅子の高さや、計算式を含むもの
④証明・音響・防音設備図
⑤保健所から交付された飲食店営業許可証のコピー
⑥営業所に係る賃貸契約書(使用承諾書)と建物に係る登記事項証明書等
営業者(お店の経営者)に関する以下の書類
⑦住民票の写し(本籍地の記載のあるもの)
⑧市区町村の発行する身分証明書
⑨成年被後見人など登記されていないことの証明書
⑩誓約書(管理者にあっては2種類あり、法人の場合は、定款、法人登記事項証明書及び役員の方の分の上記⑦~⑩の書類も必要)
管理者の方は、証明写真が必要です。管理者を別に選任する場合は、その方の分の上記⑦~⑩の書類も必要です。
証明写真のサイズ、枚数は所轄の警察に問い合わせてください。仙台市の場合、警察への手数料(実費)は、2万4000円です。